妹のはなし
今日8/27、一つの大事な作品の幕が下りた。
普段はインディーズバンドを応援しながらも、片手では舞台作品をすこし齧っていた私。
と言っても大好きな俳優さんがいる!とか全通しました!とか遠征しました!とかはほとんどなく、あーこの人のこと前も見たわ、とかこの演出家さん好きだし見よう、とかこの劇団メンバー好きだしまた来よう、のレベル。
お金と時間と好みの折り合いをつけて、月に数回行けたら「おっ」という感じ。
そんな今日は、好きな演出家さんの長く続いたシリーズのピリオドとなる大千秋楽。
名前を出してもイイんだろうけど、変な固定概念に捕らわれる可能性と、「万人受け」がほぼ無いに等しいから伏せる。
6人1組で行う完全オリジナルのスポーツの部活をメインとしてるストーリーで、女の子1人、男の子5人が主役となる。
言わばスポ根と恋愛を織り交ぜたようなもの、と解釈してくれると有難い。
私は前からその演出家さんが好きで、あと役者さんの中にも気になっていた方がいたもんでエピソード1~4を全部観劇。
去年の冬から始まり、あまりにも引き込まれた。
こういうジャンルの舞台(原作アリ)はなんだか空気感が好きになれなかった。
そんな私が、すんなり話に入れたきっかけがその演出家さんが作った別の舞台でもあるのだけど。
このシリーズは別だ、何がなんでも全部見なければだめだ、と脳がうるさく警報を鳴らしていたような気がする。
さて、タイトルの妹のはなし、だが私の妹はどこか飽き性でハマってる唯一の趣味はゲームのみで、それ以外はすべて半年を持たない性格だった。
舞台もその飽きた趣味の一つで、妹はお気に入りの役者さんがひとり居たはずだった。
その役者さんには飽きたことはなかったのだけど、私と同じく某ジャンルの空気感がすこぶる合わなく、二人で興味を持ってチケットを握りしめた所で結局不完全燃焼のまま帰りの電車に揺られるエンド。
妹の好きな役者さんは、小さな舞台にしか出ていなくてほぼ主要都市。
学生の身である妹には「もう疲れた」という気持ちが芽生えたのだろう。
飽きるよりも自己完結化した結果だった。
そんな妹はもう"舞台に立つ人"を好きになることはなく、見向きもしなくなった。
私はまだ見たい舞台はあったものの、誘っても大丈夫の一点張り。
そこで出会ったのが最初に記したスポ根ものの舞台。
クリスマス、女二人、チケットを久しぶりに財布に忍ばせ、少しだけ知ってる役者さんの名前が羅列したパンフレットとフライヤーを手にして。
ここから話すと長くなるので割愛するけど、結果的に言うと妹と共にどハマりした。
クリスマスもゴールデンウィークも初夏も夏休みもこの舞台だけしか見なかった。
それ以外で見た舞台はもう思い出がない。
それぐらいだった。
今日は本当に本当にラストで、チケットだって早々に取った。
乗りたくもない乗り換えの多い電車も暑い暑い言いながら出来た。
エンドオブサマー、作中に出てくる大会の名前。
正にその通りに夏が終わった
昨日、2枚あるチケットの片割れを妹に「忘れないように、」と念押ししながら渡すとき、「この人の演技、見るの最後なんだね」と妹はチケット面を見ながら呟いていて。
まさかその名前が、って役者さんだったから驚いた。
また口を開いた妹は、「私、この人の演技が好きだった」
初めて聞いた妹の言葉……告白はどこか重くて、「それは気が付かなかった、」としか言いようが無かった
"演技が"好きだってことに気がついて、"舞台が"楽しいってことに気がついて、行きの電車はワクワクした。帰りの電車はドキドキしてた。
この作品の話をしてたら楽しかった。一つのエピソードがすごく早かった。
持っていったタオルやハンカチはすべて落ちたアイメイクと涙でぐしゃぐしゃだった。
みんなみんな全部全部ありがとうございます。
たぶんこれは誰の目にも触れない、告白。
それでも見てくれてる方、見てくださってありがとうございます。